須藤元気については、昔格闘技の試合をテレビで観た事があるような気がするし、映画に出演しているのを観た事もあったが、取り立てて興味も湧かずに終わっていた。音楽とパフォーマンスをやり始めた事も耳にはしていたが、やはり流してた。ところがつい先日、配信されてきた記事の中に彼が率いるグループ World Order の新作が載っていたので、どういう訳か観てみようという気になった。それがこの動画。
ロボットダンスとは意外だった。格闘家というイメージと風貌から、よさこいソーランのようなものを勝手に想像していた。当人の事をよく知らないからこその偏見だ。しかも結構出来が良いと思う。楽曲自体はそんなに良いとも思えないが、パフォーマンスの BGM としては充分だし、何度も聴いているうちにだんだん好きになってきた。YouTube にもチャンネルがあってこれまでの作品を観る事が出来る。それぞれになかなか楽しい。ロボット歩行ダンスの手本にしたのは、この年代のアシモだろうか。(下記動画参照)このコマーシャルも出来が良い。
ロボティックな動きというのは愛嬌があり、それでいて見ていて悲哀をも感じるは何故なんだろうか。動きがぎこちなくて不自由そうだからだろうか。一生懸命に動いていて、それ故に邪心を持っていなそうだからだろうか。人間の勝手な思い込みには違いないが、一体そこに何を見ようとしているのだろう。
World Order の場合は、スーツを着込んで髪の毛を整えているところから、日本社会のサラリーマンの非人間的な生活を揶揄したり同情したりしているのだろう。そしてこれが Perfume となると、恋に焦がれる籠に捕らわれたアンドロイドというような表現になっている気がする。もしかしたら社会に於ける女性の姿を模しているのかも知れない。(下記動画参照)
で、World Order の話に戻って、上記の動画の中で、ロボリーマン達が他のファンに混じって AKB 劇場でオタ芸を打つ(高じる事をそう呼ぶそうな)場面があるが、あまり楽しそうには描かれていない。ファンはただがむしゃらにペンライトを振り回しているだけだし、華やかな笑顔で歌い踊るアイドルはステージを降りると憂鬱な表情で佇んでいる。ロボリーマンやアンドロイド姫となんら変わりはないように見える。楽しそうには見えないが、しかしそれは彼らが選んだ幸福であるのかも知れない。アイドルは生身の感情を捨て去りステージの上で花と咲き、ファンは応援しているというより一心にアイドルと同化しようとしている、ように見える。
World Order の他の動画に比べ、この動画はそういった厭世観が色濃く表現されている。須藤元気という人は、結構そういう事ばかり考えながら生きている人なのかも知れない。
April 13, 2014 at 11:46
銀座のコリドー街にポップインっていうアイリッシュパブがあったんですよ。
友だちとさまよって初めてそこにたどりついたとき店内で20人くらいのスーツ姿のおっちゃんたちがABBAの “Dancing Queen” で踊りまくっていたんですよ。しかもモーションがみんな完全にぴったりと一致してて、「も~床がぬけちゃうから止めてくださいよぉ~」っていいながら泣きそうな店員を完全無視で踊り狂ってたので、ぼくも友人もなんて素敵なバーなんだとおもって通いだしたんです。ところが踊るおっちゃんたちを目撃したのは初訪問の夜が最初で最後でした。おそらく店という店を出禁になりながら、かれらは踊れる空間をさがして彷徨していたのかもしれません。
あのころ給料日後の新橋駅前では居酒屋からかっぱらってきた空のジョッキを子供みたいな笑顔でふりまわす高齢のサラリーマンなんかもいて楽しかったなと本記事拝読中におもいました。
April 13, 2014 at 21:11
それは30年くらい前の話でしょうか。バブル後暫くしてからは、40代以上の客をターゲットにしたような古いディスコ・ミュージックをかけるクラブが出てきていたように思いますが、その当時は行き場がなかったでしょうねえ。居場所が無く金も無いサラリーマンが、憤りをバネに荒らし回っていたと考えると楽しいですな。