スーパーでの事。「小松菜のお浸し」という商品が旨くてよく利用していたのだが、今日見たら同じ商品の名前が「江戸菜のお浸し」に変わっていた。見た目は全く同じ物なので、さては「小松菜」の別称が「江戸菜」なのだろうと僕は推測した。
 さて、部屋に戻って早速つまんでみると、味もまったく同じである。やはり。良い機会ではあるので詳しく事情を知っておこうと調べてみたところ、現在の東京都江戸川区の小松川付近で栽培されていた「小松菜」の改良種が「江戸菜」であるらしい。がしかし、食べてみても何処がどう改良されたのか判らない。たぶん同じものなのだろう。

 ところで、いろいろ調べていると「小松菜」と「高菜」は同類の種であるらしい。そう言えば歯ごたえや味が似ている。とはいえ、僕はこれまで「高菜」と言えば漬けた物か、更にそれを唐辛子と共に炒めた物しか知らなかったので、今日改めて気付いた次第である。
 因みに、僕の実家ではよく高菜が食卓に上る。漬けた物・炒めた物両方。これは地域的(隣の熊本県阿蘇が産地であるらしい)なもので、一般的な傾向であるのだが、そう言えば通っていた大学の学食にも「高菜チャーハン」が「チャーハン」と同じ値段で並んでメニューに在った。そうなると、同じ値段であるなら僕は「高菜チャーハン」ばかりを食べてしまう訳で、考えてみればこの頃から僕の食べ物に対する冒険心の無さが伺える。(余談だが、僕が生まれ育った町には中華料理店は無く、「炒飯/チャーハン」という名称を大学に上がるまで知らなかった。同じ調理法に拠る料理は「焼き飯」と呼ばれていた。)

 東京へ移り住んで十数年。ラーメン屋で豚骨ラーメンのトッピングとしてか、若しくはコンビニの弁当以外に此処で高菜を食べた記憶が無い。関東地方には高菜を食べる食習慣がないのだろうからそれは仕方がないし、そもそも住んでいる場所に適した食べ物食べているのが一番良いと思うので別段問題はないのだが、かつて食べ慣れていた食物を見て「珍しい」という気持ちになる事が、たまに不思議に思う事がある。