西洋の美術の世界で最初に認められた日本人美術家は葛飾北斎です。北斎は町絵師で生前の社会的な地位は低く、当時の日本の主流には背を向けていた人物です。宮廷画の「本画」に対抗して自ら「漫画」呼んだ本道から外れた作家・・・・・・それが日本の芸術の代表者なのです。しかも北斎は西洋で認められているとは言え「欧米の美術の歴史を補完する素材としてのジャポニズム」の中にいる周辺人物に過ぎない。日本の異端は欧米の評価を受ける。日本の本道は欧米の評価を受けない。現代に通じるこの流れを日本人は意識すべきです。
村上隆著『芸術起業論』幻冬舎 2006年 pp.117-118
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