日本人の「芸術」の定義は曖昧なものでした。日本人美術家は独自の見解にいつも自信がなく、作品の根拠も薄く、客観性に乏しく・・・・・・ジャポニズムも結果的には写楽や北斎をハイアートの文脈でカテゴライズしてくれたのはフランス人やイギリス人であり、日本人が写楽や北斎のステイタスを作ったわけではありません。浮世絵に力があったというより欧米の作ってくれた文脈に踊らされたとも言えるのです。

村上隆著『芸術起業論』幻冬舎 2006年 pp.78-79