インターフェイスや体験空間のデザインがエンタテイメントを参照することは、美術館やアートワールド全体の資本主義との関係強化とあいまって、面白いがリスキーでもある。その混乱や揺らぎは、アートが建築、デザイン、映像、社会学や科学など他のジャンルと横断的に関わり、その境界が曖昧化していることと連動する。
 総じて言えば、アートにおいて観客の関与が大きくなればなるほど、ヴァナキュラーでローカルなアートシーン、特に都市を中心としたマルチモダニズムの形成が促進されることになる。

長谷川祐子著『キュレーションー知と感性を揺さぶる力』集英社新書 2013年 pp.144-145