アートはメタファーの場、第三の場所とでもいえる領域である。人間だけが何のために自分が生きているのかについて考える。その解が欲しくて、人間は最初に神をつくり、そして別の答えを求めて科学を発達させた。科学が宇宙と生命の原理を解いてしまったとき、最後に、脳や意識の問題と、そこからの曖昧な産物である芸術や哲学がこれに付随して残った。

長谷川祐子著『キュレーションー知と感性を揺さぶる力』集英社新書 2013年 pp.38-39