ところが、アジアの現代アートの歴史はまだ浅く、したがって、今のところギャラリーのシステムが確立されていません。そこで、プライマリーの作品を、アーティスト自身がやギャラリーが、いきなりセカンダリーのマーケット、つまりオークションに突っ込んでしまう事が起きています。一度も買われたことのない作品が、セカンダリー級の価格で落札されていくわけです。こうなると、確かにアーティストにとってもギャラリーにとっても、実入りはいいです。
セカンダリー・マーケットでの差益は、その作品を出品した人のものです。村上隆さんの作品が一億円で落札されたところで、村上さんにも僕にも、一銭たりとも入りません。お金は出品者に入ります。ただ、セカンダリー・プライスが高くなれば、それにつられてプライマリー・プライスも値を上げるので、アーティストやギャラリーはそうした間接的な利益があるだけです。
小山登美夫著『現代アートビジネス』アスキー新書 2008年 pp.118-119
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