黒々と伸びる線路。その脇を走る常夜灯に照らされた道。線路の向う側の鄙びた居酒屋の軒には赤提灯が揺れる。と、その下には柱に繋がれた犬が、行き交う車のヘッドライトを眺めている。主人は一杯引っかけているところか。自転車のライトの明かりは心許なく、線路脇の草叢からは虫の鳴き声が聞こえてくる。