何のテレビ番組だったのか憶えていないが、映画の紹介コーナーでこの予告編(劇場公開前だったのだろう)が流れて、そのハイキックの美しさに呆気にとられた印象がずっと頭の中に残っていた。つまりは、その後映画を観ようともせずに、すぐさま日常の中で忘れてしまっていたのだ。2009年の話である。
 それから、何かのきっかけで何度か思い出した事もあったように思うが、やはりその時も観ようとはしなかった。しかし今年になって、レンタルDVD屋のアクション映画のコーナーで偶然にこの映画のDVDを見つけてしまい、そろそろ観た方が良いような気がしたので、観てみる事にした。果たして、映画全体が稚拙で気に入らなかったのだけれど、主演の武田梨奈の事が妙に気になってしまい、どうにも捨て置けない感じになったので、可能な限り彼女の出演作を観て確認してみようと思い立ったのである。以下はそのメモのようなものである。

ハイキック・ガール!

ハイキック・ガール!:KINENOTE

 2009年5月公開。神社でのハイキックがピークの映画だった。ストーリーは稚拙で、打撃でちゃんと当ててるところを見せようとしたのか、スローモーションを多用するのでスピード感に欠ける上に見づらい。脇の出演者にも格闘家を何人も登用しているそうだが、非常に勿体ない事になっている。監督・脚本・プロデューサーの西冬彦がすべて悪いんじゃないかと思えて来る。

KG カラテガール

KG カラテガール:KINENOTE

 2011年2月公開。今回、西冬彦はアクション監督・脚本・プロデューサーを務めており、監督は木村好克である。前作よりもアクションがぐっと良くなった。しかし、やはり話が面白くない。
 こういう格闘系アクション映画というのは話が面白くなくても成立するものだったかなと、昔に観たカンフー映画の事を思い出そうとしてみたが記憶がかなりあやふやである。しかし先日続けて観てみた「ベスト・キッド」シリーズは、面白かったのは1984年公開の最初のヤツと、2010年にジェイデン・スミスとジャッキー・チェンが主演した作品だけである。他のはどうにも惰性で作った印象を受ける。なので格闘系アクション映画でも脚本はやはり重要だと思う。

女忍 KUNOICHI

女忍 KUNOICHI:KINENOTE

 2011年3月公開。この映画には西冬彦はまったく関係しておらず、監督・脚本・プロデューサーは千葉誠治。これもアクションはそこそこだったが、話が面白くない。65分の映画だし、おそらく物語を見せたいのではなくアクションを見せたいのだろうと思うが、エピソードが残酷なわりには面白みがないし、短い映画で良かったなと思ってしまうほどだった。

少女は異世界で戦った DANGER DOLLS

少女は異世界で戦った DANGER DOLLS:KINENOTE

 2014年9月公開。監督は金子修介アクションは良かったし、話も少し面白い。物語自体もそうなっているのだが、これはアイドル映画として楽しむのが良さそう。

art_20151123_ryugu-no-tsukai

リュウグウノツカイ:KINENOTE

 2014年8月公開。監督・脚本はウエダアツシ。アメリカで起きた集団妊娠事件を題材にしている話で、アクションはなし。話が面白いことはなかったが、この女優はアクションなしの立ち居振る舞いも結構良いのだな、という印象を持った。

ワカコ酒

ワカコ酒:Wikipedia

 2015年1月から3月に放映。原作はグルメ系漫画。意外なドラマに出演したものである。予告編動画を観て、結構絵面が良かったので観てみた。原作漫画の小気味よさが念頭に在ったからか、全体的に冗長な感じがするし、最後の方は無理矢理話を盛り上げている感じがしたので、あまり面白いとも思えなかった。各話3分という短い尺でやったアニメ版のように、5分、せめて10分の尺でやったら良かったのになあと思っていたら、なんとシーズン2が年明けから放映されるようだし、今月から韓国でリメイク版が放映されるとか。意外にも人気があったようである。

art_20151123_iya-monogatari

祖谷物語 おくのひと:KINENOTE

 2014年2月公開。これを最後に持ってきたのは一番気に入っているからである。監督・脚本は蔦哲一朗。3年をかけて、35mmフィルムで撮影したそうである。徳島県三好市祖谷が舞台であり、冒頭で映し出される山深き風景にぐっと引き寄せられ、一転しての冬山の風景の中で蠢く田中泯演じるマタギの姿にがっちり掴まれた。武田梨奈はこういう、俗世から離れて暮らしている純朴な女性の役がよく似合っているように思う。例えば、橋本愛がとても良かったリトル・フォレストだが、もしかしたら武田梨奈が演じても良かったかも知れない、と思ったりする。
 作品に恵まれていなくて不憫だと思っていたが、この作品に主演する事が出来て本当に良かったなあと他人事ながら安心した。

 -

 Wikipedia の出演作リストを見ると判るように2014年から急に出演作が増えている。レンタルが出来て、主演しているものを観てきたが、デッド寿司は予告編をみて、どう考えても好きじゃなさそうなので止めておいた。そもそもは格闘する少女の姿が観たかったのだったと思うが、その点に関しては今となってはどうでも良くなってきた。今年出演した映画の粗筋なんかを読んでみると、いろいろな役を演じているようである。それらが DVD 化されてレンタルされるようになるのをのんびり待ちながら、緩く追いかけていこうかなと考えている。