人びとの潜在的な願望や創造性を引き出す力、これが次世代のキュレーションとして最も期待される能力である。タイの映画監督でアーティストのアピチャッポン・ウィーラセタクンは、普通の人びとに自宅でソープオペラの主人公を演じさせたり、役者から聞いた自伝的ストーリーをもとにその場で脚本をつくっていく。「ハリウッド映画は観客のの欲望をひきだして映像として見せる。僕の映画は僕の欲望を人びとに見せながら、観客と一緒に新しいテリトリーに入っていく」と語る彼は、この新たな文脈の創始者の一人といってもよい。
長谷川祐子著『キュレーションー知と感性を揺さぶる力』集英社新書 2013年 pp.147-148
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