ここ数ヶ月で改めて感じたのは、人は、僕が想像するよりもずっと自分の欲求に忠実で、その場の感情に従って発言したり行動したりする。それはもう驚くほどに。そんなにあからさまに行動して大丈夫なのだろうか。冷静に物事を判断するとか、そういう事は考えないのだろうか。と心配をしてみるものの、意外や世間は大した問題も起きずに進んでいく。

 さすがにこの歳だから、人のそういう部分を知らなかった訳でもないのに、この驚きと新鮮さは何だろうか。これまで、そういう場面に遭遇する事が少なかったのかも知れない。考えてみれば、僕は他人のそういう部分を何となく避けて生きて来たような気がする。何故避けるのかと言えば、それは面倒で疲れるからである。自分のものだけでも面倒なのに、他人のそれを受け止めるなんて至難の業だ。

 しかしこの頃では、波風の立たない人生などあり得ないのではないかと思い始めている。これまではどうにか穏やかに暮らせていたのかも知れないが、今後はそうもいかないのではないか。もしかすると波風あってこその人生なのではないか。そんな風に感じている。でもそれは単に、退屈しているだからなのかも知れない。よく判らない。

 そしてその昔、僕は波風立てて人に迷惑をかける側の人間だった事を思い出した。