DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: June 2005

The Long Goodbye / Robert Altman

 随分昔に一度だけ観た事があって、偶然に Tsutaya で見つけたので観てみた。僕の儚い記憶の中にうっすらと残っていた場面が次々と映し出される。一番印象に残っていたのは、米国西海岸の湿り気を帯びた濃密な夜の光景だ。街の放つ光を色っぽく包んだ夜が主役のような映画だ。改めて観ると、フィリップ・マーロゥ役の Elliott Gould がとても愛らしくてカッコ良い。探偵物語の松田勇作を思い出す。この映画は1973年の作品だが、探偵物語は1979年の放映なので、もしかしたら案外元ネタだったりするのかも知れない。原作は勿論 Raymond Chandler の長いお別れ。その原作と大きく違うのはラスト。自分を利用し裏切った友を、自分の手で殺すのだ。あ、そうそう。この映画は未だDVD化されていなかったようで、現在予約受付中である。しかもやけに安い。更に(個人的に)繋がりを見いだしてしまったので、これも何かの縁(偶然とも言う)だろうと買う事にした。

皮膜

 祖母の時もそうだったが、知っている人間が死ぬと、自分の中の何かしらの器官が塞がれてしまうような気がする。寂しいとか哀しいとかではなく、現実感は希薄であるのに暗い影だけが差す。そういう器官は幾つも在って、一つが塞がったからと言って劇的な変化はないが、確実に何かしらが欠落する。その器官から流れ出るべき何かが出なくなり、流れ入るべき何かが入らなくなってしまう。無感覚になると言っても良い。そしてそれは、時間が経てば元に戻るものでもないらしい。忘れる事が出来れば、無関係だと思える事が出来れば、それもいつしか無くなるのかも知れない。

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