一つの文章に纏めるというのが出来そうにないので、箇条書きで。

  • 森山大道のドキュメンタリ映画「≒」よりはかなり出来が良い。
  • 写真家としてこれまでに出版した写真集は350冊にも上るというのは凄い。
  • 親しい人達へのインタビューというのは、正当な要素だとは思うが、彼方此方で目にしているので、個人的には要らない。
  • しかし、撮られる側の人達へのインタビューは興味深かった。
  • それでも、一様に皆誉めっ放しなのはどうだろう。荒木経惟が好きで作った映画なので仕方ないか。
  • どうせなら、中平卓馬を出せば面白かったのに・・・。それか篠山紀信。そう言えば先日、新宿の沖縄食堂「やんばる」で中平卓馬とホンマタカシを見かけたが、何故あの二人がつるんでいるのだろう。と思ったら、そう言えばこんな事やってたんだった。完全に観逃している。最近忘却の仕方が酷いので自分が心配だ。
  • よく話題に上るのは、やはり亡き妻陽子さんの事。陽子さんとの事については、これも彼方此方で読んでいるが、僕は二人の間の事を読むのが好きである。羨ましいとさえ思う。そしてこの映画の中で、臨終の床についた陽子さんの、透明なチューブを巻き付けた腕の先、力無いその手の平をしっかりと荒木氏が握った写真を見た時、僕は泣いてしまった。その写真は何度も観ているハズなのに、感情が抑えられなくなった。差し伸べられた手をしっかりと受け止め握り返す、という行為に打ち震えたのである。
  • DJ Krush の音楽は今一つ。
  • 局部にボカシの入る映画など久しぶりに観た。
  • どうせなら、モデルとなった人々をもっとたくさん出して、コラージュの様に散りばめれば良かったのに。数年前に東京都現代美術館で催された展示会の物量は、それはもの凄いものであった。それを映画でやれば良かったのになあ。
  • 気になったのは、長い間荒木氏のアシスタントをしていた野村佐紀子さんの姿が見えない。離れてしまったのだろうか。しかし青山ブックセンターで著書は見かけたので、写真を止めた訳ではなさそう。
  • エンディングで、監督であるクローゼ氏のカラオケしている姿が映される。荒木氏の写真にも、カラオケで歌っている人々の姿をよく写っているが、なかなか良い感じである。個人的にカラオケは好きではないが、その写真は好きだ。

 最後まで纏まりはないが、荒木氏の撮影している光景を見るのは楽しい。出来たらもっと観ていたい。