今日は正午近くに何やら重い気分で目が覚めた。さして体調が悪いようにも思えないが、身体が酷くだるい。単に寝過ぎか。隣の隣の隣の部屋の女の話声が聞こえてくる。「うん、結構良い天気だよー。」彼女は最近ダンスを習いに行っている。昨夜は友達が遊びに来ていたようで、尻込みするその友達を説き伏せダンスを教えていた。「上、下、上、下、上・・・そこで回る!はいっ・・・上、下、上、下、上、下・・・そこで跳ねる!」その声に重ねてトントントン、ドドン、トントンと床を踏みならす音が聞こえて来る。えらいのが引っ越して来たなあ、などと思いながら僕は眠りに落ちたのでした。
話は戻って、ベッドから起きあがってみれば、だるさは残っているものの別段疲れているようでもない。動いた方が良さそうである。天気も良いので洗濯する事にした。通常の洗濯に加えて、これから活躍するである白地のTシャツを全部浴槽で漂白剤に浸けた。何となく黄ばんでいるような気がしたもので。洗濯機を回している間にパワーブックを起こし、各所を巡回。と、その時に異変が。僕が使っている椅子は背板、座板の部分が厚い麻布で出来ている。所謂ディレクターズチェアみたいな作り。その座布が破れかけているのである。購入してから何年経つのかもう覚えていないが、かなり老朽化している事は確かである。これは後二週間もしない内に座れなくなるのは避けられない気がします。スウェーデン製の木と麻布で作られた椅子で気に入っていたのですが、仕方ありません。明日にでも新しい椅子を見つけて来なければ・・・。
ベランダにここ数日間に使った黒と青と透明の傘を拡げて干し、洗濯物も干し終え、僕は下町住人らしく散歩に出る事にしました。トイレ用の洗剤と食材も買わなければなりません。東京東部のこの町には古い一軒家が多く、狭いながらも庭の在る家が建ち並んでいます。僕が毎年楽しみにしている紫陽花が其処此処に花弁に色を付けていました。まだ3割程度の開花状態でしたが、これからが楽しみです。そんな中、紫陽花の下に茶と白の猫が佇んでいました。目を閉じてじっとしているので、僕はそっと近づいて驚かせようと思い足を進めましたが、後三歩のところでその猫は目を開き、僕を一瞬間見つめた後に身を翻して走り去りました。アプローチの仕方を間違えたようです。僕はビーチサンダルの鼻緒に浮いた埃を指で拭い、陽光の中を再び歩き始めました。そんな晴れやかな土曜日の午後。
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